つらいターミナル期患者さんの看護

患者さんとの思い出と看護師のお仕事

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このサイトについて長年看護師として勤めた経験と思い出を離職した機会に徒然に書いてみました。
これから看護師を目指す人の参考になればいいなと思っています。

ターミナル期患者さんの看護の思い出

看護師の仕事をしていて、一番の喜びは担当の患者さんが全快して退院をされることです。そしてもっとも悲しいことは患者さんが亡くなられたときです。患者さんの最期のときには、患者さんの家族といっしょに患者さんを看取ることがあります。
いっしょに泣きたい気持ちになりますが、けっして泣けないのが看護師の立場です。
家族が亡くなった患者さんとのお別れの時間を持てるように配慮しつつ、そのあとの手続きを準備しなければいけませんから。
そして、そのときにいつもこの患者さんに自分は十分に看護ができたのか?患者さんの期待に応えることができたのか?という答えのない自問を繰り返すことになります。
ターミナル期患者さんの看護の思い出

ターミナル期の患者さんとの接し方

末期がんのようにほぼ回復が望めない病気で入院している患者さんをターミナル期の患者さんと呼ぶことがあります。(この呼び方には個人的に疑問を感じないでもありませんが)
ターミナル期の患者さんを看護をするのは難しいと感じます。特に若い頃は、どのように接していいのかわからない時期もありました。
でも、患者さん自身が自分の状況を察している場合もけっこうあって、逆に気を使ってくれることもあるので、それが余計につらいこともあります。
そして、長年、いろいろな患者さんとお付き合いしているうちに、ある程度自分の感情を出しながら、自然体で接するのがベストだと気づきました。
患者さんも病状が安定しているときは、ごく普通に世間話をして、リラックスしているように見えます。そこをこちらが緊張しながら接すると逆に患者さんに緊張を強いることになってしまいますから。

患者さんに学ぶこと

人は死に直面すると、最初はそれを認めず、また認めざるを得なくなると怒り、怒っても解決にならないと知ると現実逃避をし、やがて、それも無駄と悟り、落ち込みつつも容認し、死を受け入れていくという段階を取ると言われています。
ターミナル期の患者さんの中には怒りっぽい人や無口でふさぎこんでいる人もいます。人は誰しも自分の死を容易に受容できませんので、当然といえば当然でしょう。自分自身がそうなったとしたら、どんなふうに毎日を過ごしていけるのか想像もつきませんから。
でも、ターミナル期の患者さんたちは、取り乱したり、看護師に八つ当たりをしたりという人は滅多にいません。私の印象では穏やかな人が多いくらいです。
逆に、その姿にわれわれ看護師が教えられることが多いです。死に慣れてはいけませんが、死から目をそらさずに生ある限り、冷静に親身に看護をしなければいけないと襟を正すのです。

看護師のきつい性格は優しさゆえ

患者さんが亡くなったときには、非常に落ち込みますが、ご家族の方から感謝の言葉をいただくこともあり、それで救われることもあります。そして、何よりも担当する患者さんはひとりではありません。ほかの闘病中の患者さんに落ち込んで姿を見せるわけにはいかないので、平静にいつものように振舞わなければいけないのです。看護師はこうして心が強くなっていくような気がします。時に、看護師は性格がきついと言われることがありますが、それは優しさゆえだと、理解してほしい部分でもあります。

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