ひとりで処置をする訪問看護師さんのお仕事

患者さんとの思い出と看護師のお仕事

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このサイトについて長年看護師として勤めた経験と思い出を離職した機会に徒然に書いてみました。
これから看護師を目指す人の参考になればいいなと思っています。

訪問看護師の患者さんとの思い出

私が看護師を離職したのは、母の認知症が進み、一人で暮らすことができなくなったからです。
それまでの30年余りの看護師勤務の中で、二人の子供の出産と子育てで通算3年ほど休んでますが、子供が保育園に預けられるようになるとすぐに現場に復帰していました。看護師という仕事が好きですから。
ところが、3年前、80歳を目前にした母が雨の日の散歩で転倒して右手を骨折してから、認知症が始まりました。自分でも健康だけが取り柄と言っていたのに、転倒して骨折したことがよほどショックだったようです。
訪問看護師の患者さんとの思い出

認知症の母

私は最初のうちは、80歳だから多少の物忘れは仕方がない、一人暮らしなので今以上に頻繁に連絡を取ってと思っていたある日、警察から私の勤務する病院に電話がかかってきました。
母が買い物に出たあと、迷子になってしまい自宅に帰れなくなったのです。見慣れた道なのに迷子になるとは。。。よほど困って、交番に駆け込んだようです。
母はその当時はまだはっきりしている部分も多かったので、私の勤務先をお巡りさんに伝えて連絡を取ることができたのでした。それでも、この事件は私にとってショックでした。母を一人暮らしのままにできないので、夫と相談してうちで同居する方向で母と相談しました。母は最初渋っていましたが、やはり不安な気持ちには勝てず、同居することに同意しました。そしてこれを機会に私も看護師を離職しました。

訪問看護を受ける

母は認知症になる前から高血圧という持病がありました。週に1度は通院をしてお薬をもらっていましたが、迷子になって以降は外出を控えるようになりましたので、訪問看護を受けることになりました。私自身が看護をすればいいのですが、病院での看護と訪問看護は勝手が違います。
訪問看護師は、基本的にひとりで自宅や施設で療養中の患者さんのもとに訪れ、主治医の指示に従った看護や処置を行います。そしてその看護の記録を主治医に報告して、今後の処置の指示を受けます。
主治医との強い連携をもって行う訪問看護ですが、現場ではひとりですので、都度判断をしながら看護を行うことになります。

訪問看護師さんの思い出

母の看護に来ていただいている看護師さんは、私より10歳ほど年下の落ち着いた物腰の柔らかい女性です。訪問看護師を始めて10年になるというベテランの方で、認知症で少しわがままになった母の話を看護をしながらじっくり聞いてくれます。私以上に親身な姿勢に、こちらが恥ずかしくなるほどです。
何度も来ていただくうちに、話す機会も増えてきました。ある時、「患者さんに対する寄り添うような姿勢がすばらしいですね」と話したところ、「いえ、最初はこうじゃなかったんです」と。
訪問看護を始めた頃から、患者さんのことを第一に考えて親身に接しようと心がけていたのですが、実際は、主治医の指示通り看護や処置をすることを優先していて、心の面が疎かになっていたのです。
ある時、ある患者さんから「いつも忙しそうで大変だね。うちに来たときはのんびりお茶でも飲んで、世間話をしていってよ」と言われて、ハッとしました。
患者さんから見た自分は、患者さんの気持ちを考えずに忙しそうに自分のことだけやっている人なのだ、といわれたような気がしたのです。
それ以来、患者さんは自分の親だと思うようにしています。看護や処置はその副産物だという感じでやっていますので、看護師としてどうなのかな?と思うときもありますが。

それを聞いて、実の親を診ていただいている私は少し恥ずかしくなりました。

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